鉛色の空に舞う白い雪の色「雪色(せっしょく)」

色のおはなし 2024.02.05配信

本日は雪模様ということで、雪にまつわる色のおはなし

2024年さっぽろ雪まつりが、昨日2月4日からスタートしました。暦の上では立春ですが、まだまだ寒い日が続きます。本日の天気予報では関東地方も雪だとか。雪に不慣れな方は、くれぐれも足元ご注意ください。

 

さて、本日は雪模様ということで、雪にまつわる色名を見てみましょう。雪と聞いてまず頭に思い浮かぶのは「スノーホワイト」。雪のような白色。純白を表します。

 

以前、アンミカさんの「白って200色あんねん」という発言が話題になりました。白のみならず、色にはさまざまなニュアンスがあることを端的に表すと同時に、つい笑ってしまうようなユーモアも含まれていて、なんとも絶妙な表現でした。雪の色名もしかりで、「スノーホワイト」とは別に、「雪色(せっしょく)」「銀白色(ぎんはくしょく)」などがあります。日本の色は名前そのものが心に沁みるといいますか、美しいですね。今回は、その中から「雪色(せっしょく)」をご紹介します。

 

「雪色(せっしょく)」

鉛色の空に舞う白い雪は、単純な白ではありません。光の影響を受けて、ほのかに青みがかった灰色の色みが生まれます。冒頭のカラーパレットをご覧いただくとお気づきになられるかと思いますが、外枠の白に対して、中央の「雪色(せっしょく)」はほのかに青みがかっています。雪の色といっても、単純な白ではないことがわかります。

余談です。雪にまつわる江戸時代のおはなし

雪を表現したものとしては、歌川広重『東海道五拾三次 蒲原 夜之雪』の版画も有名です。和紙の白を生かしながら、濃淡の墨のぼかしを重ねることで、やわらかな雪の質感や量感を表現しました。音もなくしんしんと降り積もる銀世界をモノトーンによって生み出したわけです。きっとどこかで目にしたことがあるような作品ですので、ご興味のある方はチェックしてみてください。

 

雪つながりで……、江戸時代にはすでに雪の結晶に目を留めて研究していたお殿様がいたのをご存知ですか。古河藩主土井利位(どいとしつち)です。顕微鏡を使って雪の結晶を観察し、その美しい結晶を『雪華図説』(1832年)という図集にまとめて出版しました。この時代に雪の研究、ましてや結晶の図集とは驚きです。

 

ちなみに、前述の『東海道五拾三次 蒲原 夜之雪』は1833年頃の作品と言われています。そこに描かれた静岡県の蒲原にも、土井利位の古河藩(現:茨城県古河市)にも雪が降り積もっていたということなので、当時は関東地方であってもそれほどに寒かったことが想像できます。

 

シンシアカラーズでは、色の世界を辿りながら、そこにつながる興味深いおはなしもあわせて紹介してまいります。寄り道にすぎますが、よろしければお付き合いください。本日はこれまで。温かくしてお過ごしくださいね。

 

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