2月最初の午の日が初午(はつうま)。2024年の初午は2月12日です
初午。一度は耳にしたことはあるけれど、何なのかと聞かれればよく知らない、という方も多いのではないでしょうか。お稲荷さんが身近にあって、よくお詣りされる方はご存知かもしれませんね。
初午とは、2月最初の午の日のこと。京都の伏見稲荷大社の祭神が、和銅4年(711年)2月の最初の午の日に稲荷山に鎮座したことに由来します。その後、この日が全国約3万社あるといわれる稲荷神社の祭りの日となりました。
旧暦では農作業を始める時期にあたることから五穀豊穣の祈願が主でしたが、今では開運・福徳・商売繁盛をもたらす祭神として、家内安全・商売繁盛・開運を願うお詣りが多くなっています。今年2024年の初午は2月12日(月・振替)。ご興味のある方は、お近くの神社で初午祭が開催されるかチェックしてみてください。
ところで、初午の由来ともなった伏見稲荷大社といって思い浮かぶのは<千本鳥居>ではないでしょうか。朱塗りの鳥居が連なる光景はまさに圧巻。実際には、千どころか、小さなものまで含めると境内内には約1万基が並ぶとも言われています。
あの鮮やかな<千本鳥居>にちなんで、本日は鳥居の色についておはなししたいと思います。
鳥居の色は「丹色(にいろ)」とも言います
鳥居の色は「朱色」でしょ? だって朱塗りの鳥居っていうじゃない?
そう思われた方、それはそれで正解でして、「朱色」は黄みがかった鮮やかな赤色をさします。しかしながら、「朱色」とは別に「丹色(にいろ)」と呼ばれる色があります。今回は少々マニアックに「丹色(にいろ)」の方を紹介させてください。
「丹色(にいろ)」
やや黄みがかった赤色のこと。「朱色」よりも黄みが強いです。丹(に)とは赤い顔料や赤い土を意味し、赤土の古語で「あか」とも読みます。「丹」は赤い顔料全般を意味するため、神社の鳥居などは朱塗りとも丹塗りとも言われます。合成顔料が作られるまでは貴重な色として寺社仏閣などにだけ使われてきました。
「赤」はもともと魔除けの色とされていたうえに、鉱物からできる「丹色」の顔料には、防腐剤として木造建築を腐食から守る効果がありました。それもまた「丹色」が神社仏閣に使われた理由のひとつと言われています。
今となっては「朱色」と「丹色」の境目はあいまいで、言葉として捉えた場合は同じように使われていると感じます。寺社仏閣がお好きな方にとっては、「丹塗り」等の言葉を目にする機会があるかもしれませんので、その差を知っておいて損はないかと思います。「丹色」を知った今、かつて目にした鳥居を思い出してみると、少しオレンジがかっていたようにも感じませんか?
余談ですが、「丹」を「たん」と読むときは、真心を表します。「丹精」「丹心」といった語にはそのような意味が含まれますので、豆知識として覚えておくのもおすすめです。
お稲荷さんと狐の関係
お稲荷さんの稲荷は「稲生(いねなり)」が縮まったもので、稲、すなわち田の神さま(農業の神さま)のことでした。それがどうして狐なのかと言いますと、狐は農作物を荒らす野ネズミなどを食べてくれたため、田畑の守り神とされてきたからです。
そして、お稲荷さんといえばいなり寿司。これは狐の好物である油揚げを供物としていたことに由来していると言われています。なにやら、甘く煮た油揚げに包まれた、美味しいいなり寿司が食べたくなりました。
シンシアカラーズでは、色の世界を辿りながら、そこにつながる興味深いおはなしもあわせて紹介してまいります。最後までお読みくださりありがとうございました。
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