バレンタインデーによせて。「チョコレート」色のおはなし

色のおはなし 2024.02.14配信

2024年バレンタインデーによせて。「チョコレート」色のおはなし

2月14日のバレンタインデーを前に、百貨店のチョコレート売り場は大変な賑わいを見せていました。最近のバレンタイン事情について調べてみたところ、大きな流れとしては、購入する人も平均予算も昨年より増加、特に<自分チョコ増加>が注目すべきトピックでした。かつての義理チョコ文化はやや衰退ぎみといったところのようです。

 

このように、日本のバレンタインといえばチョコレート。バレンタイン商戦といえばチョコレート商戦。ということで本日は、みんな大好きチョコレート、の色に関するおはなしです。

 

「チョコレート(chocolate)

言わずもがなではありますが、チョコレートの色は「チョコレート」色といいます。これについては、「当たり前すぎて考えもしなかった」とか、「あくまでも食べ物としての名称であって、色名までそうだとは思わなかった」など、さまざまなお声があるでしょう。

 

カカオ豆を原料とするチョコレートとココアは、どちらも色名になっています。色名の「チョコレート」は、冒頭のカラーパレットのようなこげ茶色。ビターなタイプのチョコレートの色です。一方ココアはミルクを加えて作るのが一般的なので、「ココアブラウン」は「チョコレート」よりも色が薄いです。

 

食べ物や植物の名がそのまま色名に

世界の色名には、チョコレートと同じく食べ物の名がそのまま色名になっているものが多く見受けられます。例えば、「チョコレート」色と同系のブラウン系なら、「コーヒーブラウン」「モカ」「シナモン」「キャラメル」「ビスケット」など。聞き覚えのある名ばかりですよね。何となくそれぞれの色みも思い浮かぶのではないでしょうか。この世に多彩な色が存在するということを、食の世界からも垣間見ることができます。

バレンタインデーのはじまり

バレンタインデーは、女性が男性へ愛の告白とともにチョコレートを贈る日。これは日本独自の文化です。

 

元来、2月14日というのは、古代ローマ皇帝の迫害を受けて殉教した司祭バレンタイン(ヴァレンティヌス)の殉教日です。皇帝が強兵策の一環として若い兵士たちの結婚を禁じた際に、バレンタイン司祭がそれに抵抗し、何組もの結婚を取り計らいました。これが皇帝の怒りを買い、2月14日に処刑されたのです。以来、バレンタイン司祭は、愛の守護聖人として敬愛されるようになり、次第にこの日を愛の日として、恋人同士が愛を伝え合うようになりました。

 

そこからどのようにして日本独自のバレンタインデーが定着するに至ったのか。

 

そのはじまりは、神戸の洋菓子メーカー・モロゾフにありました。欧米では2月14日に愛する人に贈りものをするという習慣を米国人の友人から聞き知った創業者が、この素晴らしい贈りもの文化を日本でも広めたいと考えたことがきっかけで、当時は贅沢品であったチョコレートを、大切な人への想いを伝えるにふさわしい特別なギフトとして提案しました。それが1930年代のこと。

 

時流れ、戦後1958年の2月12日~14日の3日間、メリーチョコレートが新宿伊勢丹で日本初のバレンタインフェアを行ったことが現在へと繋がっているようです。

 

シンシアカラーズでは、色の世界を辿りながら、そこにつながる興味深いおはなしもあわせて紹介してまいります。最後までお読みくださりありがとうございました。

 

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