3月3日は桃の節句。「桃色」に染まる雛祭りの日
あっという間に2月も終わり、今日から3月です。みなさま、いかがおすごしでしょうか。気づけばもうすぐ雛祭り。この「色のおはなし」コラムでは、色を介して季節を廻っているわけですが、今年に入って2か月も過ぎてしまった事実にじゃっかん唖然としております……
さあ、気を取り直して、本日の色のおはなしと参りましょう。雛祭りと言えば「桃色」。3日3日は「桃の節句」とも呼ばれるくらいですから、 本日は春気分を盛り上げる「桃色」について探ってみましょう。
「桃色(ももいろ)」
桃の花のようなやわらかい赤を「桃色」といいます。その色は桃の花で染まることはなく、実際は紅花で淡く染められていました。かつては桃の花のように染めた色を意味する「桃染」と呼ばれていたとも。
日本では、この色は近年ピンク色と表されることが多いですが、英語でのピンクはナデシコ科の植物の花の色に由来しています。この2つは微妙に異なることを知っておくとよいでしょう。
■3月3日「桃の節句」
別名「上巳(じょうし)の節句」。上巳とは3月最初の巳の日のことで、災厄に見舞われやすいとされ、平安貴族たちは自分の穢れや災いを紙人形にうつし、川や海に流していました。
室町時代には、端午(5月5日)は男児の節句、それに対して上巳(3月3日)は女児の節句とされ、江戸時代に入ってだんだんとそれが庶民に伝わり、やがて3月3日には女児のお祝いの儀式として人形を飾るしきたりが定着していったとされています。
平安時代に用いていた旧暦の上巳は現在の4月頃。開花時期と重なるため「桃の節句」と呼ばれるようになりました。
■雛祭りが象徴するもの
雛飾りは、そもそも幸せな婚礼を象徴していました。前日に飾る一夜飾りは縁起が悪いとされており、3月3日の2週間前ぐらいから飾るのが一般的。また、節句が終わった翌日には片づけた方がよいと言われていました。
その理由は、いつまでも出しておくと婚期が遅れるとか、片付けができない娘はよいお嫁さんになれないとか、厄を映した形代の雛人形をいつまでも飾っておくのは縁起が悪いなどの考えに基づいていたようです。
このご時世、男子だ女子だと分け隔てる考え、婚期が遅れるなどという発想に厳しいご意見をお持ちの方も多いかと思います。私個人としましては、頭から否定はせずに、歴史を紐解きながら、かつてはこういう考え方もあったという事実を淡々と頭の片隅に入れておくのも悪くはないと考えます。
シンシアカラーズでは、季節の移ろいとともに色の世界を廻りながら、そこにつながる興味深いおはなしもあわせて紹介してまいります。最後までお読みくださりありがとうございました。
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